LTVとはLife Time Value(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の略で、企業などのビジネスサイドが一人の顧客から生涯に渡って受取る利益のことです。
LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)とは?
LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の算出は、次の式で算出されます。
顧客生涯価値 = 顧客単価 × 年間購買頻度 × 継続年数
つまり、一人の顧客が一回の購入でいくら使い(顧客単価)1年間のうちに何回購入し(購買頻度)、何年間顧客であり続けてくれるかということをかけあわせます。
したがって、顧客が御社の顧客である生涯に渡って、一体いくら御社に利益をもたらしてくれることになるかという値です。
LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の活用
LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)が把握できると、一人の顧客を初回取引だけで見る人とそうでない人、スマートにマーケティングに取組む人と、マーケティングコストから単純にコスト削減を行い、先細りの未来を手にする人とは、歴然たる差を生みます。
顧客単価だけで見る会社は、1回1回の取引に神経を尖らせますが、LTVで見る会社は最終利益までを見てビジネスポートフォリオや商品ポートフォリオをマッピング(全体的な商品やサービスの組み合わせ)をします。
そのため、顧客から見た時の1回1回の取引が、極めて敷居が低いものとなります。 例えば、初回取引だけで利益を出すことを大前提にしてしまうと、初回取引にあたってのマーケティングコストはほとんどかけれないことになります。
例えば初回取引だけでマーケティングコストを考えた場合、10,000円の商品を売るのに、10,000円以上の販促費用は決してかけれません。ところが、LTVで見る場合には10,000円の商品を売る場合でも、それに応じたマーケティングコストをかけられます。LTVを仮に100,000円でだとすれば、マーケティングコストは2割までかけても、20,000円となります。 これが、スマートにマーケティングに取組む会社とマーケティングコストから単純にコスト削減を行う会社との歴然たる差を生むLTVの基本的な活用方法です。
マーケティングコストとはコストではなく投資
マーケティングコストというのは、言葉上はコストですが、LTVのコンセプトを理解していると、コストではなく、投資であることが分かります。
なぜなら、顧客に対し、投資をし、そのリターンという利益を得る思考が生まれるからです。これは、ビジネスモデルやコミュニケーション戦略がシステムとして存在すると、投資とリターンが時差をつけて表れるようになることからも明らかです。
LTVを知ることのメリット
LTVを把握することで、少なくとも三つのメリットがあります。 ひとつめに、それぞれ公式の横のライン(顧客単価、購入頻度、顧客期間)でみた時にその数値を改善するにはどうすればいいのかが具体的に分かるようになります。
例えば、1人当たりの購入頻度が少ないということが分かれば、少なくともそこに対して何かしらのアプローチが出来ないか、という発想が生まれます。そのため、問題を見極めきれずに顧客単価を上げるための取組を行うようなことを行わずに済みます。
ふたつめに、LTV上でも数値が改善されるようになれば、数値というのは変動させることができるということに気付き、どの部分が取り組みやすくどの部分が効果が大きいのか、などが分かります。これにより、ビジネスを安定させたり成長させることが可能になります。
みっつめに、顧客生涯価値以下の利益しか立っていない既存客や休眠客に対してアプローチをすることで、利益を最大化できることが分かります。
LTVによるマーケティング投資とは?
マーケティングへの投資金額は例えばリスティング広告の場合であれば一日当たり、月当たりの設定予算になります。コンバージョンコストがLTVを上回っているのであれば即刻中止、あるいは改善という判断が出来ます。逆にコンバージョンコストがLTVに達していなければ、どのようなキーワード単価であっても大して恐れる必要はないことも分かります。
不景気だからといって、広告を何の考えもなしにやめてしまうというのは、このLTVへの理解、LTV最大化の仕組みがないことが根本的な原因です。したがって、大切なのは、第一にLTVを算出すること、次にLTVに対して顧客獲得コストを決定すること、です。
順番を逆にしてしまうと、商品単価の粗利からしか計算が出来なくなる上に、ビジネスモデルの重要性にすら気付きません。あくまで、LTVが先でコストは後です。全くデータがない場合には、想定しておけば良いでしょう。
LTVとコストの関係の目安
目安として挙げておきますと、LTVの算出の際、顧客単価から商品原価を差し引いた値にしておくと、LTV自体がほとんど利益になります。そして、LTVに対して70%くらいまでなら広告コストをかけても利益がとれることも分かりやすくなります。
また、こうした場合、赤字が極めて発生しにくい構造になります。なぜなら、LTV(利益ベースの)に対してのコスト比率だからです。
LTVの100%をコストが占めてはじめてペイという状況になるので、当たり前といえば当たり前です。こうした、CPA(顧客獲得コスト)は広告宣伝において、基準にもなりますし、このコストを下げていけるということが、イコール、効率よく顧客を獲得できるということになります。
CPA(Cost Per Acquisition:獲得単価)とは、コンバージョンにかかったコストのことですので、イコール、顧客獲得コストのことです。
マーケティング活動を始める前に
LTVを把握できると、マーケティングのプロ達がどうして現在の取組をやっているのかまで見えてきます。例えば、コスメ商品などでは無料サンプルをオファーして新規顧客を獲得していますが、なぜそんな事をするかというと、新規顧客に無料サンプル分の投資をしても、LTVはその何倍もリターンとして返ってくるのが分かっているからです。(顧客になったユーザーは何度も使い、購入する場合)
その結果、LTVが分かることで、新規顧客獲得のための投資予算枠が決まる、ということにつながります。LTVに対して顧客獲得コストが上回るのであればそれはビジネスとして成り立ちませんが、LTV以下の投資金額で顧客を獲得できるのであればLTVとの差額が利益となります。
したがって、マーケティングを始める前の大切なポイントは、「LTVはいくらなのか?」ということと、それに対して「新規顧客にいくらまで投資するつもりか?」という基準を明確にすることです。
マーケティングは顧客のためのものです。そして、顧客はあなたと同じ人間です。