マーケティングスキルを磨くには、マーケティングがどういうものだかを知ることも一つです。でも根本的にマーケティングのロジックはそれほど変化がないことを知るともっとスキルが磨かれます。その逆にここを押さえておかないと、次々と出てくる新たなマーケティング手法やコンセプトに振り回されることになります。
マーケティングがあまり変化しない理由
マーケティングのロジック、メカニズムは時代が変わってもほとんど変化しません。この理由は二つあります。一つ目に、はじめに何かしらで接触をし、その接触を元に関係を受け身的に創り上げていくプロセス自体がマーケティングのロジックである以上、何かを提案(または提供)、訴求して、その反応として顧客からのアクションを得るという構造自体には普遍性があることです。
もう一つは、世間的な認知です。多くの人は世間一般的に見聞きしたりしたこと常識だと考え、その常識に基づき、新たな事象に対する評価を下します。簡単に言ってしまえば、接触する顧客にとって全く初めてで、今までみたことも聞いたこともないやり方で接触をされれば、評価ができないので不安に陥り、結果、マーケティングは功を奏しません。
したがって、マーケティングで言うところの顧客に対して何かを行うというアプローチ、顧客から何らかの反応を得るというロジック自体には大した変化はなく、そのフレームワークの中でコンセプトなりやり方なりが変わるだけのことだと考えれば、マーケティングはさほど変化しないことに気付けます。
マーケティングスキルアップのための考え方
マーケティング手法については既に多くの先人たちが活用し、応用、またはアレンジを施してきた様々な集客アプローチです。しかしその中には一過性のものも多く、応用のしやすい王道的なものばかりしか残りません。
ディテールは実際に取り組む段になれば否応にも独自のアレンジが必要になりますが、特に単純なハウツーとしてスキルを磨くのではなく、フレームワークを見極めながら、様々なマーケティングのロジック、メカニズムを学んでいくと、マーケティングスキルアップにつながります。
マーケティングはつながった仕組みが成功を呼ぶ
現在、多くの集客の仕組みやテクニックが存在します。でも、こうした体系的な仕組みを単体ではなく、いくつか知っておくと、意外な時に発想を刺激します。自分にはスキルとして活用出来ないと思っていたものが、ある瞬間に全てがつながり、スキル単体で知っていたことが組み合わさることで成功することがあるからです。
したがって、マーケティングスキルを磨くには、その根底に流れるロジックやメカニズムを知った上で、他業界、他業種、自分が顧客となるシチュエーションまで見てみると、それらがつながって分かった時にマーケティングスキルは格段にアップします。
例えばLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の考え方やポジショニング戦略、説得力のある独自の売りや強みをアピールするPRコンセプトなど。
大切なことは、仕組みを知ること、仕組みのメカニズムを知ること、そして、そのフレームワークを、自分はどのような手順で行えば最適なのか、と自問自答することです。この思考ステップを抜いて創意工夫をしなければどんなマーケティングスキルを身に着けても上手くいかなかったり、成果は短期的なものに終わってしまいます。
その代わりに、自らが考えだし始め、それをブラッシュアップしていくマーケティングスキルは、本当のスキルとなって自分を助けることになります。
マーケティングのスキルアップ方法
マーケティングが勘ではなく科学であるためにも、マーケティングスキルをアップさせるにはテストを行います。テストすることで大きな失敗をしにくくなり、小さくとも成功の確率が上がります。また、マーケティングが成功した時にもそれがまぐれではなくなりますので、継続的に成果を上げることが出来ます。
テストは面倒なことも多いですが、結局、面倒なことでもコツコツと地道に積み重ねることが、最もマーケティグのスキルアップ方法として優れています。
比較をする
マーケティングで言うところのテストは、本番前に試験的に試してみるということだけではありません。マーケティングの取り組みの比較をするということです。比較をして、初めて、これはあれよりも良い、AはBよりも優れている、と結論づけられるからです。
出来る限り条件を一致させる
テストをしたい時には、可能な限り、あらゆる条件を一致させるようにします。
例えば、広告Aと広告Bのどちらのほうが良いのかを知るには、同じ日に同じ媒体でそれぞれの広告を打つ必要があります。これをスプリットランとかA/Bスプリットと呼びますが、そもそもの意味は、Split(分割)なので、一つのものを複数に分割してテストとして走らせるということです。
通常、A/Bスプリットは2つの広告の比較、スプリットランはそれ以上の比較のことを呼ぶ
知らない人も多くいますが、Google広告などのリスティング広告ではこの機能がはじめから備わっています。設定さえすれば、広告露出を同条件の元に分配してくれますので、簡単に比較を行えます。
スプリットラン(A/Bスプリット)
スプリットランのやり方は非常に簡単です。基本的にはリストやオファー、クリエイティブについて、分けてテストをすることで、最適な広告を探し当てていけます。
二種類よりも三種類、三種類よりも五種類の、テストをすればしただけ、最適で最高の一つが出来上がります。この最終版広告のことをコントロールと呼びますが、広告テストというのは、この最終型であるコントロールを創りだすための作業です。
リストのテスト
リストというのは、誰をターゲットにして広告宣伝をするかということです。ネット広告の場合であれば、検索ワードなどでグループAとグループBなどというように分けたり、露出先のサイトなどで反応を比較します。ビジネス全体であれば、リスティング広告がいいのか、オフラインの女性誌がいいのか等のように、効果の大きな媒体は何かということをテストします。
広告内容が全く同じであっても、誰を対象にするかによって反応が変わります。リストのテスト結果で分かることは、誰にターゲットを絞って広告宣伝するのが最も反応が良いのかが分かることです。その結果、より適切なターゲットの絞り込みが出来、効率のよい集客が可能になります。
オファーのテスト
広告の内容のうち、オファー(提案内容)を何にするのが一番反応が取れるのかを見出すことが目的です。何を打ち出せば、反応が取れるのか、何を提案すると反応が取れるのか、何をアピールすると、反応が取れるのか、徹底的にテストします。
例えば、無料プレゼントAと無料プレゼントBをそれぞれテストし、比較します。また、保証や安心を打ち出す広告と機能や価格を打ち出した広告と比較します。
クリエイティブのテスト
クリエイティブのテストはボディコピー(本文)やヘッドライン(キャッチコピー)についてテストします。本文のパーツに関しては、どのようなPR表現にするか、写真をつけたほうがいいかなど、考えうることは山ほどあります。
こうしたテストをしないと、「○○するといいらしい。」と表面的なことだけにとらわれて最適化が難しくなってしまいます。同じ業種であっても、人それぞれ、ハマるポイント(成功する広告)が違うからです。
テストの考え方
リスト、オファー、クリエイティブの3つのパーツについてテストをする場合、2種類のパターンだけで考えても、6通りの組み合わせがあります。つまり、一つのコントロールを生むためには最低6回のテストをしなければ見えてきません。
この6回のテストをやる前に、大きな投資をして広告宣伝をやると、結果が全く見えない広告宣伝になるのでリスキーになってしまいます。したがって、テスト段階では出来るだけ小さい金額でテストを繰り返すことを念頭に置く必要があります。
現実を知らなければ、数十万~数百万円の広告予算が必要だとイメージを持つかもしれませんが、どのような媒体でも、実際にきちんと調べたり、聞いてみると中学生のお小遣いくらいで出来る広告は数多くあります。
スペースによって反応の大きなリターンはとれないこともありますが、スペースがいいからといって反応が取れるわけでもありません。テストをした結果のコントロールに予算を集中投下して広告宣伝をすると、現実的で、効率のよい結果を生みます。
Plan Do Check Action
マーケティングというよりも、ビジネス用語ですが、PDCA、あるいはPDCAサイクルというものがあります。Plan(計画)し、Do(実行)し、Check(検証)し、Action(改善後再実行)することを繰り返せば、おのずと結果は好転するというものです。
もちろんマーケティングのテストも同じです。PDCAを繰り返し、繰り返し、工夫することで初めは初心者から、熟練者、達人、へとスキルアップしていきます。
最初に行うことは、Planです。まず誰に何をアピールするのか考えるところからです。いきなり実行はせず、まずは、考え始めるところがスタートです。次にDoしてみて、必ずCheckします。Checkの結果をActionします。このCheckは初めのPlanのアップグレード版のようなものになっているはずですから、良いスパイラルが生まれます。
マーケティングのスキルアップという全体のスタートは、マーケティングについて考え始めるところからです。